おせち料理には数多くの食材が盛り込まれていますが、中でも独特な見た目をしているのが「ちょろぎ」です。長寿祈願や健康成就の象徴として使われてきた歴史を知ることで、おせちをさらに味わい深く楽しめるでしょう。
この記事では、ちょろぎとはどのような食べ物なのか知りたい方に向けて、ちょろぎの特徴について解説します。
なお、ちょろぎは珍しい食材であるため、やや入手が難しいかもしれません。おせち用の食材を準備するのが大変な場合は、通販を活用するのも一つの手段です。
虎ノ門市場では、お正月にふさわしい本格的なおせち料理を取り揃えています。縁起物であるちょろぎを含め、こだわりの食材を用いたおせちを購入できるので、ぜひご家庭の新年の祝いに取り入れてみてください。
おせち料理に入っている「ちょろぎ」とは?

おせち料理に使われる「ちょろぎ」は、中国原産のシソ科に属する植物です。れんこんやしょうがと同じように土の中で育ち、根の先端にできる塊茎を食材として調理するのが特徴です。
日に当たらずに育ったちょろぎは真っ白で、虫のように独特な形をしています。食べる際には酢漬けにして赤く染めるのが一般的で、おせち料理に入れれば、鮮やかな赤色が新年のお祝いにふさわしい雰囲気を演出します。
古くから長寿をもたらす食材とされてきたため、今でも縁起物として用いられている食材です。
おせち料理のちょろぎに込められた意味・縁起

おせちに登場するちょろぎは、健康で長生きすることを願う食材です。日本では「長老喜」「千代呂木」などの字が当てられています。
いずれも長寿に結びつく意味を持ち、縁起の良さから江戸時代より祝いの席に並べられてきました。ちょろぎは「まめに働ける体を保ちたい」という思いを込めて、黒豆と共に盛り付けられることも多いです。
このように、ちょろぎは「家族の一年を思う食材」の一つとして、現代でもおせちに取り入れられています。
おせち料理にちょろぎを使う地域は?

ちょろぎは主に東北地方で栽培されていた歴史があり、東北から北関東にかけての地域で食卓に並ぶことが多い食材です。
関西以西の地域ではおせちに取り入れる習慣が少なく、全国的に見るとやや限定的な食材といえるかもしれません。
また、ちょろぎは中国や日本だけでなく海外にも広まっている食べ物です。フランスでは「Crosne du Japon(クローヌ デュ ジャポン)」と呼ばれ、日常的な料理に活用されています。
国内では地域差があるものの、伝統的なおせちを彩る食材として、ちょろぎは確かな存在感を放ち続けています。
おせち料理に使われるちょろぎの味わい・歯ごたえ

ちょろぎは、独特の味わいと歯ごたえが魅力の食材です。
生の状態では辛味や苦味はほとんどなく、わずかにえぐみが感じられる程度で、シャキシャキとした食感を楽しめます。加熱するとホクホクとした芋に似た口当たりに変化することから、ゆり根に近い味わいと表現されることもしばしばです。
また味に強いクセがないため、調理方法や味付けによって印象が大きく変わるのも特徴といえるでしょう。おせち料理では、梅酢や甘酢に漬け込まれた赤いちょろぎが一般的で、酸味と爽やかな風味が、黒豆などの濃厚な料理の箸休めとして役立ちます。
ちょろぎに含まれる主な栄養素

ちょろぎに含まれる主な栄養素について紹介していきます。
ビタミン・ミネラル
ちょろぎは、ミネラルやビタミンが含まれる機能性の高い食材です。免疫力の維持に欠かせないビタミンC(※1)や、抗酸化作用(※2)によって美肌効果が期待されるビタミンEを多く含んでいます。
含まれるビタミンやミネラルは量としては多くないものの、バランスよく摂取できる点が魅力です。おせち料理に用いられるのは縁起的な意味合いだけでなく、栄養面の価値も背景にあります。
(※1)参考:秋田県衛生科学研究所報「秋田県内産食品ー特産食品一の成分調査について」
(※2)参考:National Library of Medicine「Stachys sieboldii (Labiatae, Chorogi) Protects against Learning and Memory Dysfunction Associated with Ischemic Brain Injury」
食物繊維
ちょろぎは食物繊維やオリゴ糖を豊富に含み、腸内環境を整える効果が期待される食材です。
とくに塊茎の主要な糖質であるオリゴ糖は、腸内環境を改善する働きが認められています(※)。便秘解消や整腸作用が期待できるため、暴飲暴食しがちなお正月にピッタリの食材といえるでしょう。
親族で囲む食卓において、家族の健康を願う気持ちを込める意味でも、入れられることの多い食べ物です。
(※)参考:NEWSCAST「近畿大学農学部と姫路市が新しい野菜による山間地農業の振興に挑戦 お正月野菜「チョロギ」の超短期栽培技術の開発に成功」
ポリフェノール
ちょろぎは、強い抗酸化作用をもつポリフェノールが含まれている食材です(※1)。
細胞の酸化を防ぐ働きが期待されており、老化の進行を緩やかにし、生活習慣病の予防に役立つ可能性が示唆されています(※2)。
ポリフェノールを含むちょろぎは、日常的な健康維持に幅広いメリットをもたらす食品です。機能性食材としての価値が裏付けられています。
(※1)参考:National Library of Medicine「Stachys Species: Comparative Evaluation of Phenolic Profile and Antimicrobial and Antioxidant Potential」
(※2)参考:AARM「Genus Stachys: A Review of Traditional Uses, Phytochemistry and Bioactivity」
おせち料理に使われるちょろぎの産地

おせち料理で親しまれるちょろぎは、主に以下の都道府県で生産されています。
- 岩手県
- 福島県
- 秋田県
- 広島県
- 岡山県
- 大分県
12月に収穫と出荷のピークを迎え、新年の祝い膳に向けて各地から市場へと流通するのが一般的です。
ちょろぎは小さく繊細であり、収穫の機械化が難しいことから、収穫には手間がかかります。農家の負担を軽減する目的で栽培面積は縮小傾向にありましたが、近年では希少価値や健康効果が注目され、特産化を進める自治体や農家も増えてきました。
おせち料理に使われるちょろぎの旬

ちょろぎの旬は、冬の訪れとともにやってきます。収穫期は11月から翌年1月までで、ちょうどおせちの需要が高まる年末と重なります。葉が枯れはじめる11月頃に掘り起こされることが多く、収穫されたちょろぎの一部は、翌年の栽培用に種芋として利用されるのが一般的です。
12月は正月料理の需要に合わせて出荷量が増加傾向にあります。市場に並ぶ赤い甘酢漬けのちょろぎは旬に収穫された新鮮なものが多いため、旬の味を楽しむといった意味合いでもおせちに入れるのに適した料理です。
収穫の最盛期が新年と重なることも、ちょろぎがおせち料理に長年使われている理由の一つでしょう。
おせち料理に使うちょろぎの選び方

おせち料理に使うちょろぎを選ぶ際には、新鮮さを見極めることが大切といわれています。
もっとも良質とされるのは、表面が真っ白なものです。白さが残っているものほど、新鮮で風味も豊かだとされています。
色以外にも、形に注目してみましょう。丸みがあり、ふっくらとした大粒のちょろぎは歯ごたえがよく、食べ応えがあります。
とはいえ、産地以外では生のちょろぎが市場に並ぶことは多くありません。
どうしても見当たらない場合には、ネットショップもチェックしてみるのがおすすめです。ネットショップの場合、直接目で見ることはできないため、新鮮そうな産地直送のちょろぎを選ぶとよいでしょう。
おせち料理に使うちょろぎの購入方法

おせち料理に使う甘酢漬けにされたちょろぎは、身近な店舗や通販で入手できます。
もっとも一般的なのはスーパーです。年末になると漬物売り場や鮮魚コーナーに並び、紅白かまぼこや栗きんとんと一緒に陳列されることが多いです。おせち料理のちょろぎは甘酢漬けや塩漬けのパックが定番で、手軽に購入できます。
また、百貨店の食品フロアでも販売されている場合があります。一般的なスーパーよりもややお高めですが、高級おせち向けの品質の良い商品が揃っているため、贈答用や特別な祝い膳にふさわしいものを選べるでしょう。
また近年はオンラインショップの利用も広がっており、瓶詰やパック詰めのちょろぎが通年販売されています。地域差に左右されず、全国どこからでも購入できる点が魅力です。
おせち料理用に準備・購入したちょろぎが余ったら

おせち料理用に準備・購入したちょろぎが余ったら、以下の方法で対応しましょう。
- アレンジして食べる
- 劣化しづらい方法で保管する
アレンジして食べる
おせち料理で使ったちょろぎが余った場合は、アレンジして楽しむのがおすすめです。ちょろぎは生でも甘酢でも美味しく調理ができます。
生の状態では炒め物や揚げ物など、幅広い調理方法で活用できます。火が通りやすいので加熱時間を短めにすると、よい食感を保てます。甘酢漬けにしたものは漬物としてのアレンジが多く、梅酢漬けのほか、みそ漬け・しょうゆ漬け・粕漬けなどへの加工が可能です。
余ったちょろぎも、工夫次第で幅広い料理に活用できます。
劣化しづらい方法で保管する
余った生のちょろぎをすぐに食べられない場合は、劣化しづらい方法で保管しておきましょう。ただし、ちょろぎは水分が多く表面が傷つきやすいことから劣化しやすいため、保管方法に工夫が求められます。
数日間の保管をするなら、まず乾燥を防ぐことが重要です。新聞紙などで包み、袋に入れてから冷蔵庫で保存すると、鮮度を保ちながら使えます。より長期間保存したい場合は、土に埋めておく方法が効果的です。冬場の低温を利用すれば、翌春近くまで品質を維持でき、必要な分だけ掘り出して利用できます。
また、収穫直後の白さが残っているうちに塩漬けにしておくのも有効です。劣化を防ぎつつ漬物として長く楽しめます。
ちょろぎは繊細な食材ですが、保存方法を工夫することで旬を過ぎても美味しく味わえます。
ちょろぎは縁起物としておせちとも相性抜群!

おせち料理のちょろぎは、赤く鮮やかな色合いで祝いの席を華やかに彩ってくれる食材です。新年の食卓を、より特別なものにしてくれる存在となるでしょう。
ちょろぎは旬が12月ごろなので、年末になるとスーパーに並ぶこともあります。しかし希少性が高く、必ずしもどこでも手に入るとは限りません。おせち用に準備すると、余ってしまうこともあるでしょう。そのため、必要な分を無駄なく揃えられる通販でのお取り寄せが安心です。
「虎ノ門市場」のおせちには、縁起物のちょろぎをはじめ、厳選された素材が丁寧に盛り込まれています。華やかで豪華なおせちを、大切なご家族やご友人と囲んで楽しむことで、新しい一年をより晴れやかに迎えられるでしょう。