伊達巻がおせちに入っている意味や由来について、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。
見た目が華やかな伊達巻は、代表的なおせち料理の一つとして挙げられます。卵のふわふわとした食感に、優しい甘さと出汁の旨みが広がる味わいが人気です。
この記事ではおせちに伊達巻を入れる意味や、伊達巻のいわれ・由来について解説していきます。意外に知らない伊達巻の雑学やアレンジレシピも紹介するので、美味しい伊達巻が入ったおせちを選ぶ参考にしてみてください。
おせちの伊達巻(だてまき)とは
伊達巻とは、ふんわりとした食感とうずまき型が特徴的なおせちの定番料理です。砂糖の優しい甘さと出汁の風味が香る味わいが特徴です。
小さな子どもから大人まで幅広い世代に愛されており、一番好きなおせち料理として挙げる方もたくさんいます。
卵やはんぺんなどの魚のすり身が材料
伊達巻の材料には、卵の他に白身魚や海老のすり身などが入っています。伊達巻は普通の卵焼きとは異なり、魚のすり身が加わることで特有のふわふわとした食感になっているのが特徴です。さらに、魚の旨みによってコクのある味わいになっています。
また、自宅で伊達巻を作る際は、白身魚やエビのすり身の代わりにはんぺんを代用できます。フードプロセッサーなどを活用することで、自宅でも手軽に伊達巻を作れるのでぜひ試してみましょう。
関東・関西では伊達巻の味わいが違う
伊達巻は関東と関西では味付けが異なります。
関東の伊達巻は、砂糖をしっかりと使った甘めの味付けが特徴です。一方で関西の伊達巻は、出汁の風味が効いた甘さ控えめの味付けが特徴です。また、関西では甘い伊達巻の代わりとしてだし巻き卵をおせちに入れる場合もあります。
関西では他のおせち料理とのバランスや食べ飽きないようにといった考えから、あえて出汁の風味が引き立つ味わいに仕上げています。昔から食べられ続けている伊達巻だからこそ、関東と関西の味付けの好みが反映されているようです。
おせちの伊達巻のもつ3つの意味・いわれ
伊達巻のもつ3つの意味は以下の通りです。
- 学業成就
- 子孫繁栄
- 華やかさ
伊達巻はそのインパクトのある見た目や素材などから、さまざまな意味が込められています。素敵な一年を過ごしたい方はおせち料理に入れておきたい一品です。
ここでは、伊達巻のもつ3つの意味・いわれを解説していきます。
1.学業成就
伊達巻は切る前の見た目が巻物に似ていることから、教養を身につけて学業が成就するようにという意味が込められています。巻物のような形から派生して知性の象徴とされており、文化的な願望成就の意味が込められたとされます。
受験生がいるご家庭なら、お正月の時期は伊達巻を食べてゲン担ぎをするのもおすすめです。
2.子孫繁栄
伊達巻は卵を使用した料理なので、子孫が繁栄するようにという意味が込められています。卵自体が繁栄の象徴として捉えられ、卵の黄色が土の色を連想させることから豊穣の意味をもち、転じて子宝の意味をもつともされています。
さらに、伊達巻の丸い輪のような円を描いた形が家庭円満の意味もあるとされ、夫婦円満・子孫繁栄で幸せな家庭を作りたい方は伊達巻を食べるのがおすすめです。
3.華やかさ
伊達巻の名前にある「伊達」は華やかさや豪華さを意味し、豊かな生活や華やかな暮らしができるようにという意味が込められています。伊達巻の黄色も金色に近く、豪華さを表す華やかな色とされているのも理由の一つです。
伊達巻はスイーツのような甘さもあるので、新年のお祝いに華やかで贅沢な気分を感じられるのも魅力の一つでしょう。
伊達巻以外のおせちの定番の種類ごとの意味一覧は、こちらの記事で紹介しています。
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おせちの伊達巻の由来
おせちの伊達巻の由来は以下の通りです。
- 東北の武将伊達政宗の好物だったから
- 着物の帯に似ていたから
- 派手な卵焼きだったから
ここでは、諸説あるそれぞれの由来について解説していきます。
由来➀東北の武将伊達政宗の好物だったから
まず、伊達巻には戦国武将の伊達政宗が好んで食べたという説があります。当時、伊達政宗はヒラメの肉に卵を混ぜて焼いた平玉子焼を好んで食べていました。後にこの平玉子焼を巻きすで巻いたことから伊達巻と呼ばれるようになった、という話が由来の一つです。
伊達巻の美味しさは、有名な武将の伊達政宗も愛した味わいなのも納得できます。
由来➁着物の帯に似ていたから
伊達巻きという名の帯に形が似ていることが由来となった、という説もあります。伊達巻きとは着物の帯の一種で、帯を締める際に使用する幅の狭い帯の名前です。胸元や腰周りの調整、着崩れ防止に使用する帯で、おせちの伊達巻のようなジグザグとした見た目です。
伊達巻は通常の卵焼きと比べても特徴的な形をしているので、見た目から名前がついたことも考えられます。とくに現在では洋服が主流ですが、着物を着ていた時代は馴染みのある帯に似ていることが印象的だったとの説も十分考えられます。
由来③派手な卵焼きだったから
3つ目は、派手な見た目の卵焼きだったからという説です。もともと「伊達」は派手や豪華を意味する言葉で、通常の卵焼きよりも華やかな見た目の伊達巻は「伊達な卵焼き」だったため、「伊達巻」になったとされています。
また、江戸時代に伊達者(だてしゃ)と呼ばれた、おしゃれな若者たちの着ていた着物の柄に似ていたからという由来もあります。目を惹くおしゃれな見た目の伊達巻は、当時の流行の最先端だったのかもしれません。
伊達巻の歴史
伊達巻の歴史は江戸時代にまでさかのぼります。
ここからは、伊達巻の起源や「伊達巻の日」について解説していきます。
伊達巻の起源
伊達巻の起源は長崎で作られたのが始まりです。
当時の長崎では、中国や西洋の料理を日本人に合うようにアレンジした卓袱(しっぽく)料理が作られており、その中の「カステラかまぼこ」が伊達巻の起源とされています。長崎に伝来したポルトガル菓子のカステラは卵と砂糖を使ったお菓子であり、当時は外国風のレシピだったことが想像できます。
一方で、由来の1つ目でご紹介した平玉子焼がもとになったとする説もあり、伊達巻の正確な起源は明らかになっていません。いずれにせよ、伊達巻はそれほど古くから愛されており、日本人に親しまれてきた料理といえます。
5月24日は「伊達巻の日」
5月24日は「伊達巻の日」として制定されており、この日は伊達政宗の命日でもあります。伊達巻はその由来から伊達政宗に縁のある食品として知られることを踏まえ、大阪の卵焼きメーカーが制定しました。
また、関西圏では伊達巻をお正月以外でも日常的に食べます。関東圏ではおせち料理の定番ですが、関西圏では馴染みのある卵料理だという違いもあります。
おせち自体の歴史については、こちらで解説しています。
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おせち料理の歴史を解説!いつから始まったかや昔と今の違いを紹介
おせちの伊達巻の作り方
おせちの伊達巻の作り方は以下の通りです。
- はんぺんをフードプロセッサーですりつぶす
- フライパンで蒸し焼きにする
- 巻すだれの上に置いて巻く
本来は魚のすり身を使いますが、はんぺんを使うことで簡単にできます。プロのレシピには酒・醤油・出汁・黒糖などを使うものもありますが、まずは簡単なものからチャレンジしてみるのがおすすめです。
1.はんぺんをフードプロセッサーですりつぶす
まず、はんぺんや卵に調味料の砂糖やみりんを加え、フードプロセッサーで撹拌して、なめらかにします。だまが残ってしまうと出来上がった時の食感が変わってしまうので、滑らかになるまでしっかりと撹拌しましょう。
フードプロセッサーがない場合は、ボウルに入れてハンドミキサーで混ぜるのもおすすめです。
2.フライパンで蒸し焼きにする
フライパンに油を引いて、ふたをして弱火で蒸し焼きにします。
温めすぎると焦げてしまうので、フライパンを熱してからぬれ布巾で粗熱を取っておくのがポイントです。フライパン側の面に焼き色がつくまでじっくりと蒸し焼きにしていきます。
3.巻すだれの上に置いて巻く
焼き色がついたほうを下にして巻きすだれの上に乗せ、手前側から巻いていきます。巻き終えたら両端を輪ゴムで止めて冷やしましょう。
すだれが無い場合は、ぬれ布巾にラップを敷いて巻くと代わりになります。冷やし固めて形が整ったら完成です。
おせちの伊達巻に関するよくある質問
おせちの伊達巻に関するよくある質問について、以下の3つを解説していきます。
- 伊達巻の正しい巻き方は右巻き?左巻き?
- 伊達巻はオーブンでも焼ける?
- はんぺんはミキサーなしでもすり潰せる?
伊達巻の正しい巻き方は右巻き?左巻き?
正しい巻き方は右巻きです。古くから日本では、右巻きは「エネルギーが入る」、左巻きは「エネルギーが抜ける」方向とされています。このため、右巻きが正しい巻き方とされています。
なお、伊達巻は全体的に水分量が多く、ジューシーな食感であることが一般的です。しかし、水分が少なめでカステラのような食感の四角いタイプもあります。同じ向きに巻いている伊達巻でも、見た目や食感が異なることがあるため、ぜひ食べ比べてみましょう。
伊達巻はオーブンでも焼ける?
伊達巻はオーブンでも調理できます。
事前に下準備した生地をクッキングシートを敷いたバットに流し入れて、焼き色がつくまで焼きましょう。仕上げに巻きすなどで巻いて完成です。
はんぺんはミキサーなしでもすり潰せる?
はんぺんはミキサーなしでも調理は可能です。具体的には以下の方法を参考にしましょう。
- 袋に入れて手で揉む
- 細かく切ってすり鉢ですり潰す
- 泡立て器で混ぜる
自宅にある調理器具を活用して、ぜひ美味しい伊達巻づくりにチャレンジしてみましょう。
伊達巻の意味を知っておせち料理を味わおう
人気定番おせち料理の伊達巻には、一年をより豊かに過ごすためのさまざまな意味が込められていました。また、関東と関西では伊達巻の味わいが少し異なるので、どちらも注文して食べ比べてみるのもおすすめです。
テレビ東京が運営する「虎ノ門市場」では、ご紹介した伊達巻をはじめ、豊富な料理が入った豪華おせちを取り扱っています。華やかな料理が詰められた2024年のおせちをご家庭で楽しみましょう。