数の子はおせち料理の代表的な料理の一つです。鮮やかな黄色の色合いと特有のコリコリとした食感が人気で、絶妙な塩加減はお酒ともよく合います。
おせち料理にはなぜ数の子が入っているのか、その意味についてはよく知らない方も多いのでしょうか。
この記事では、おせちに数の子を入れる意味や、数の子の味付けの違いなどについて解説します。また、数の子と呼ばれるようになった由来や、美味しい数の子の特徴についてもご紹介します。これらを参考にして、華やかで美味しいおせちを選びましょう。
おせちの定番!数の子とは?
数の子はプチプチとした食感が特徴の魚卵で、おせちの定番料理です。薄い黄色をしており、ギュッと固まっているため、歯触りのいい特有の食感が楽しめます。
一般的には塩漬けにされるので、ほんのりと塩の味わいが効いたあっさりとした味わいが特徴です。
数の子は何の魚の子ども?
数の子はニシンの子どもで、正確にはニシンの卵巣部分にあたる部位です。ニシンは「二親」とも書き、子宝を願う意味にも通じています。
近年では国内での漁獲量が減っており、ニシンの代わりにカラフトシシャモの卵を代用することもあります。
美味しい数の子の特徴
美味しい数の子は鮮やかな黄色をしており、身がつやつやとしているのが特徴です。
なお、黄色い色をしているのは塩漬けにした塩数の子となります。
数の子の産地
数の子の産地は大きく分けて2つあり、太平洋で獲れるニシンの卵と大西洋で獲れるニシンの卵の2種類があります。とくに太平洋産は歯触りがよく、中でもカナダ産が人気です。一方の大西洋産はしっとりとした食感なので、加工品用に輸入されています。
国内では北海道や東北が主な産地ですが、漁獲量は全体的に少なく、中でも品質が高い北海道産の数の子は希少な高級品とされています。
おせちに数の子を入れる意味
数の子をおせちに入れる意味は、以下の通りです。
- 子宝や子孫繁栄の願い
- 新年のはじめに邪気を払う
ここからは数の子のもつ意味について解説していきます。
子宝や子孫繁栄の願い
数の子は多くの卵をもつことから、子宝や子孫繁栄の意味が込められています。ニシンは一度に多くの卵を産むことから子宝の象徴となり、「二親」と書くことから子孫繁栄を願う食べ物となりました。
とくに、ニシンが昆布に卵を産みつけた「子持ち昆布」は、縁起のよい料理としても知られており、おせち料理にもおすすめです。
新年のはじめに邪気を払う
数の子は、新年のはじめに邪気を払う意味をもつ3種の祝い肴の一つにも数えられています。
祝い肴とは無病息災を願うおせち料理で、壱の重に詰められるおせち料理のことです。また、関東と関西で祝い肴は以下のように異なります。
地域 | 祝い肴 |
---|---|
関東 |
黒豆 数の子 田作り |
関西 |
黒豆 もしくは 田作り 数の子 たたきごぼう |
関東で主流の黒豆や田作りは、関西だとどちらかのみが重宝され、関東では食べられていないたたきごぼうが関西では祝い肴とされています。数の子は関東・関西どちらでも縁起がいいとされており、正月のお祝いには欠かせない食材です。
数の子以外のおせちの定番の中身の意味は、こちらの記事で紹介しています。
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おせちに使う数の子の3つの種類
おせちに使う数の子は3つの種類があり、以下の通りです。
- 塩数の子
- 味付け数の子
- 干し数の子
ここからはそれぞれの違いを解説します。
塩数の子|塩漬けにしたもの
塩数の子とは、おせち料理の定番で現在最も主流とされる数の子です。塩数の子は塩抜きの必要があり、塩分を調整してから料理に使用します。
近年では太平洋や大西洋など遠方から数の子を運ぶ際、数の子は冷凍すると食感が変わってしまうことから、長期保管するために塩漬けが主流となりました。
味付け数の子|醤油や白だしの味わいが特徴
味付け数の子とは、醤油や出汁などで味付けされた数の子です。塩抜きされた数の子を醤油や出汁などに漬けて作られており、塩抜きの手間がありません。そのため、すぐにそのまま食べられるのが最大の魅力です。
下ごしらえが不要なので、日常的にも手軽に数の子を堪能できます。
干し数の子|昔のおせちで用いられていた
干し数の子とは、ニシンから魚卵の塊を取り出して天日干しした数の子です。かつては冷蔵技術が進歩していなかったため、このような保存方法が主流でした。
近年ではほとんど見受けられませんが、干し数の子は水に漬けて戻す必要があったため、現在よりも下準備に手間がかかっていました。
おせちの数の子の歴史
おせちの数の子の歴史は、室町時代までさかのぼります。足利義輝に数の子が献上されて以来、流通量が増加し、縁起物として正月のおせち料理や結納など晴れの日の食事に使われるようになりました。
数の子は14世紀ごろ、北海道から京都に伝わったとされています。当初は主に北海道から昆布が届けられていましたが、ニシンが卵を産みつけた昆布から生まれた「子持ち昆布」をきっかけに、数の子も注目を集めるようになりました。
江戸時代からは国内で本格的に漁獲されるようになり、昭和初期にはピークを迎えました。しかし、その後は漁獲量が著しく減少し、現在では太平洋産や大西洋産の数の子が中心に流通しています。
おせち自体の歴史については、以下の記事で紹介しています。
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おせち料理の歴史を解説!いつから始まったかや昔と今の違いを紹介
おせちの数の子の名前の由来
数の子の名前の由来には諸説あります。
代表的なのは、ニシンが元々カドイワシもしくは鯟(かど)と呼ばれ、「かどの子」が訛って数の子になったとされている説です。また、一度に多数の卵を産むため、「数」の子を当てたという説もあります。
簡単!おせちの数の子レシピ
おせちの数の子を食べるには、まず塩数の子を食塩水の中に入れて塩抜きを行い、その後1日間出汁に漬けます。ぬるま湯で塩抜きを行うと時短効果があるので、急いでいる場合は試してみましょう。
また、漬ける出汁は染み込みやすいように、1分ほどレンジで温めてから漬けてみましょう。出汁が冷めていくにつれて、より味が染みるのでおすすめです。
数の子を使う各地域のおせち料理
数の子を使う各地域のおせち料理は以下2つがあります。
- 松前漬け|北海道
- 豆数の子(数の子豆)|福島県・長野県
数の子は全国各地で親しまれている食材ゆえに、地域によって独自の進化を遂げて親しまれている料理もあります。ここからは数の子を使った各地域のおせち料理をご紹介します。
松前漬け|北海道
松前漬けは北海道で親しまれている料理で、数の子に昆布やスルメなどを加え、醤油などの調味料で漬け込んだものです。数の子を使った定番料理の一つであり、現在は北海道だけでなく全国的に認知される料理として広まりました。
醤油や出汁の旨味がご飯のお供にもおすすめです。北海道以外の地域でも、松前漬けをおせちに入れることがあります。
豆数の子(数の子豆)|福島県・長野県
福島県・長野県の郷土料理には、「豆数の子(数の子豆)」と呼ばれる食べ方もあります。大豆の一種である「ひやし豆」を、醤油漬けにした数の子と合わせた料理で、ひやし豆がない場合は、あおばだいず(青大豆)や枝豆でも作れます。
福島県や長野県は大豆の生産量が多いため、数の子と合わせて作られる郷土料理ができたとされています。
おせちの数の子に関するよくある質問
おせちの数の子に関するよくある質問について、以下4つを取り上げて解説します。
- 数の子はなぜ塩漬けするの?
- おせちの数の子はいつ作る?
- 数の子の旬はいつ?
- 数の子はどのくらいもつ?
数の子はなぜ塩漬けするの?
数の子を塩漬けにするのは、太平洋や大西洋など遠方で漁獲されることから、長期保管が必要になるためです。冷凍してしまうと食感が変わってしまうため、塩漬けが主流となっています。
その代わりに、食べる際は塩抜きの必要があるのも特徴の一つです。なお、おせちに使う数の子は3つの種類があり、以下の通りです。
数の子の加工方法 |
特徴 | 食べる際の処理 |
---|---|---|
塩数の子 |
塩漬けされた数の子 | 塩抜きの必要がある |
味付け数の子 |
醤油や出汁などで味付けされた数の子 | 塩抜きの手間が必要なく、そのまま食べられる |
干し数の子 |
ニシンから魚卵の塊を取り出して天日干しした数の子 | 昔のおせちで用いられ、冷凍技術の進歩により近年ではあまり見かけない |
おせちの数の子はいつ作る?
数の子作りを元日に間に合わせるためには、12月29日頃から下ごしらえをはじめるのがおすすめです。
塩抜きは3〜4時間でできるため半日あれば十分ですが、数の子に醤油などの味を染み込ませるため、早めに下ごしらえをしましょう。
数の子の旬はいつ?
数の子のもとになるニシンの水揚げ量は、春の3月頃〜初夏にかけてが最も多くなる時期です。
おせちを食べる時期は旬ではありませんが、塩漬けにすることで数の子は保存食となり長持ちするので、お正月にも美味しい数の子が味わえます。
数の子はどのくらいもつ?
冷凍庫で2~3週間が目安です。冷蔵庫では5〜6ヶ月もちますが、食感が変わってしまう場合があるので早めに食べきるのがおすすめです。
また、味付け数の子よりも塩数の子のほうが長持ちするので、長期保管をする際は塩数の子を選びましょう。
おせちの花形!祝い肴の数の子で美味しく新年を過ごそう
数の子には、子宝や子孫繁栄を願う意味が込められています。数の子は塩漬けの他に白だしや醤油などで漬けたものもあるので、食べる際は味付けで選んでみるのもおすすめです。
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