おせちの定番として親しまれる昆布巻きですが、「どのような願いが込められているのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。
昆布巻きは語呂合わせによるお祝いの意味をはじめ、たくさんの縁起の良い願いが込められた伝統料理です。伝統的な意味を知ることで、お正月の食卓をより豊かな気持ちで迎えられるでしょう。
この記事では、おせちに昆布巻きを入れる意味や由来を解説します。
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昆布巻きがおせちの縁起物とされる理由

昆布巻きがおせちの縁起物とされる理由として、以下が挙げられます。
- よろこぶ(喜ぶ)の語呂合わせでお祝いを意味する
- 子生(こぶ)の当て字で子孫繁栄や安産を祈願する
- 養老昆布(よろこぶ)の別名で不老長寿や健康を願う
- かんぴょうで結ぶ形から良縁成就を表す
それぞれの内容を解説します。
よろこぶ(喜ぶ)の語呂合わせでお祝いを意味する
昆布巻きには、新年に多くの喜び事が訪れるよう祝う意味が込められています。昆布は「よろ昆布(よろこぶ)」の語呂合わせにより、家庭に福を呼び込む縁起物として扱われているからです。
また、昆布は古くから「広布(ひろめ)」とも呼ばれていました。この呼び名から喜びを広める意味合いも重なり、おせちに欠かせない一品となっています。
子生(こぶ)の当て字で子孫繁栄や安産を祈願する
昆布巻きには、子孫繁栄や安産を祈る意味も込められています。昆布には縁起の良い「子生(こぶ)」の漢字が当てられ、子宝に恵まれる象徴として扱われているからです。
そのため、結納品やお祝いごとの贈答品としても使われています。家族みんなが健やかに世代をつないでいけるよう、願いを込めて昆布巻きはおせちに入れられています。
養老昆布(よろこぶ)の別名で不老長寿や健康を願う
昆布巻きには、家族の不老長寿や日々の健康を祈願する意味もあります。昆布には喜ぶの語呂合わせから「養老昆布(よろこぶ)」の漢字が当てられます。この呼び名も、昆布巻きが長寿を願う縁起物縁起物としておせちに用いられる理由の一つです。
おせちは、新しい年の無病息災を祈るための特別な料理です。昆布にはミネラルや食物繊維が豊富に含まれているため、昆布巻きは無病息災を願いながら味わうのにぴったりな一品です。
かんぴょうで結ぶ形から良縁成就を表す
具材を昆布で巻いてかんぴょうで結ぶことから、人と人との良いご縁を結ぶ良縁成就の意味も昆布巻きに込められています。結び目が容易にほどけない様子が、一度結ばれたご縁が末永く固く結ばれ続ける姿を象徴しているためです。
また、バラバラになりがちな具材を一つに束ねる工程も、家族が手を取り合ってまとまる家庭円満を連想させます。昆布巻きには恋愛や結婚に関する良縁だけでなく、仕事や人間関係における良い出会いを願う意味も含まれています。
おせちの昆布巻きの中身による意味の違い

昆布巻きは具材によって以下のように縁起の良い意味が違います。
- にしん|子宝・子孫繁栄
- 鮭|災いを避ける・立身出世
- ごぼう|家業安泰・延命長寿
代表的な3種類の具材がもつ意味を解説します。
にしん|子宝・子孫繁栄
にしんを巻いた昆布巻きには、子宝に恵まれることや子孫繁栄を祈る願いが込められています。にしんは一度に多くの卵を産む魚として知られており、子宝や子孫繁栄の象徴とされてきたためです。
呼び名に「二親(にしん)」の漢字が当てられることから、にしんはたくさんの子どもが産まれる縁起物として扱われています。子宝を象徴するにしんを、「子生」の意味をもつ昆布で包み込むことで、一族の繁栄を祈るお正月にふさわしい一品となります。
鮭|災いを避ける・立身出世
鮭を巻いた昆布巻きには、一年の災厄を遠ざける魔除けや立身出世を願う意味があります。災いを避ける(さける)と鮭(さけ)の語呂合わせから、鮭は悪運やトラブルを退ける縁起物とされてきました。
また、鮭は川で孵化した後に広大な海へ旅立ち、数年後に急流を力強く遡上して生まれた川へ戻る習性をもちます。そのため、過酷な困難を乗り越えて目的地へ辿り着く姿にあやかり、試練に打ち勝って立身出世を果たす象徴としても扱われています。
ごぼう|家業安泰・延命長寿
ごぼうを巻いた昆布巻きには、家業の繁栄や延命長寿の願いが込められています。ごぼうは地中深くにしっかりと細く長い根を伸ばす植物であるからです。
大地に深く根を張る姿は家族や家業がその土地に定着し、土台を固めて末永く繁栄することを表します。また、細く長く伸びる姿が、健康に長生きする延命長寿を連想させます。
おせちに昆布巻きを入れるようになった由来

おせち料理に昆布巻きを入れる習慣は、北海道で誕生した郷土料理が全国へと広まった歴史に由来します。国内の昆布生産量の約90%を占める北海道で、豊かな海の恵みを活かして作られたことが昆布巻きの始まりです。
日本の昆布に関する歴史は非常に古く、797年の「続日本紀」にはすでにその記述が存在します。鎌倉時代から室町時代にかけて交易船で本州へと運ばれ、京都や大阪の食文化を支える重要な食材となっていました。
江戸時代に入ると日本海を行き交う北前船の主要な交易品となり、全国へ広く流通し始めます。この時期に、北海道で豊富に獲れたにしんや鮭を昆布で巻いた昆布巻きが生まれ、郷土料理として定着しました。
やがて縁起の良さと保存性の高さから、昆布巻きは正月を祝うおせち料理の一品として親しまれるようになりました。
参考:農林水産省「昆布巻き 北海道」
おせちの昆布巻きの作り方

にしんを具材にしたおせちの昆布巻きの作り方は、以下のとおりです。
- 昆布とかんぴょうを水で戻す
- 身欠きにしんと昆布を巻きやすい大きさに切り分ける
- 身欠きにしんを軽く湯通しして、水気を拭き取る
- にしんを芯にして昆布をきつく巻く
- 巻き終わった昆布をかんぴょうで結ぶ
- 鍋に巻き終わりを下にして昆布巻きを並べる
- 鍋に昆布の戻し汁と酒、酢を加えて火にかける
- 沸騰したら灰汁を取り、落とし蓋をして弱火で煮込む
- しょうゆと砂糖、みりんを加え、さらに煮る
- 火を止めて鍋に入れたまま冷ます
- 粗熱が取れたら好みの長さに包丁で切り分ける
昆布を戻す際に浸した水は煮汁に使います。煮汁に少量の酢を加えると昆布の繊維が軟化するため、昆布巻きがやわらかく仕上がります。
おせちの昆布巻きに関するよくある質問

おせちの昆布巻きに関するよくある質問とその回答を紹介します。
昆布巻きの読み方は「こんぶまき」「こぶまき」のどちらが正しい?
昆布巻きの読み方は、「こんぶまき」「こぶまき」のどちらの読み方を用いても間違いではありません。
漢字の「昆布」をそのまま音読みした場合は「こんぶまき」となります。一方、「よろこぶ」の語呂合わせや縁起を意識して「こぶまき」と呼ばれる場合もあります。
どちらの読み方を用いても意味や縁起に変わりはないため、使いやすい呼び方を選びましょう。
昆布巻きは正月以外に食べてもいい?
昆布巻きはお正月以外の時期に食べても問題ありません。
結婚式や還暦などの祝い膳に重宝される他、普段のおかずとして使われることもあります。栄養豊富で日持ちもしやすいため、日々の食卓の一品として用意しておくのもおすすめです。
かんぴょうがない場合は代用できる?
自宅で作る際にかんぴょうがない場合は、竹串や細く切った昆布で代用が可能です。
竹串を刺して固定すれば、煮込んでいる最中の型崩れを防げます。また、余った昆布の端を細長く切って結び紐に活用すると、食材を無駄なく使えて見た目もきれいにまとまります。
昆布巻きに込められた意味を知っておせちを楽しもう

おせち料理の昆布巻きには、子孫繁栄や健康長寿など家族の幸せを願うさまざまな意味が込められています。縁起の良い昆布巻きを入れたおせちを楽しみながら、笑顔と福に満ちた晴れやかな新年を迎えましょう。
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